ポーランド・ワルシャワで行われたウクライナ難民支援「ワルシャワ・ジョイキャンプ」に参加された大下郁子さんの報告会を開催しました。
難民キャンプというと、テントに難民の方がいらっしゃるというような感じを想像していましたが、そういう状態ではなく、ウクライナから避難している子供たちをキリスト教の教会に集めて、そこで遊ぶというようなプログラム参加されたようです。その報告会の概要です。
報告会
日時: 2026年5月16日(土) 鹿児島市民福祉プラザ 5階小会議室3・4
報告者:大下 郁子さん 霧島市在住・新潟県出身
日本語支援団体 バルヴィーノク代表 日本語教師)
大下郁子さんの活動のきっかけと現在の活動について
・出身が新潟なので、新潟空港から飛行機で一時間半ぐらい行くとウラジオストクっていうところに行ける。今どうなってるのか分からないけれども、学生の頃は週二回定期便がウラジオストクとハバロフスクに出てたいたと思う。当時、関税が安く、日本の中古車をウラジオストクに持っていくと高く売れる、しかもロシア車よりも性能がいいってことで、日本の車を整備して、ロシアに送る、そういうビジネスがものすごく発達してていた。
その日本製の車をそのままロシアで乗れないので、ロシアの方が新潟に来て、整備をして、船に乗せて車をウラジオストクの方に送ると。なので近所に結構ロシア人が住んでいた。 体が大きくて、夏になると上半身裸でこう自転車乗ってるような、光景が私にとっては、見慣れているというか、30ねん以上前にはそういう状況があった。 それで、ロシアという国に興味を持ち、大学に入ってからロシア語を勉強し始めた。
ロシア語も勉強して、ロシア人の友達もいたので、四年前にウクライナ侵攻が始まった時に、ショックを受けた。あの大学の時の研究室にウクライナ人も、 ロシア人もいた。その時から多分ちょっと微妙な力関係というのを感じてたいたような気がする。例えば中国人と台湾人が、何かこう揉めてるとか、そういう状況も見たりしていた。 ロシア人とウクライナ人の力関係があるなと感じていたので、こういうふうに戦争が起きて、自分の中で他人事じゃないなというか、遠い責任みたいなものを感じた。そして、何ができるかなと考えた時に、自分は日本語教師の資格を持っていたので、ロシア語もできるということで、オンラインで日本語を教える活動を始めた。
現在、その日本語支援団体バルヴィーノクという団体では、二十人ぐらいの全国に住んでいるウクライナ難民の方に日本語を教えている。鹿児島では避難民約20名の食事会など地域支援にも参加。
ワルシャワ・ジョイキャンプについて
- 実施概要
- 期間:4月2日〜5日(4泊5日)。
- 会場:ワルシャワ郊外のバプテスト系神学校施設(自然環境下での合宿形式)。
- 目的:ウクライナの子ども同士の交流促進、安心できる場づくり、多文化体験提供。
- プログラムの基調
- 礼拝・賛美の時間は若年層向けのポップな演出で、参加・一体感を重視。
- ウクライナ語聖書を配布し、学び・対話の時間を多く設定(オーソドックス中心の背景に配慮しつつ、バプテストの教えを紹介)。
現状と背景
- ポーランドの難民受け入れ状況
- 登録ベースでウクライナ避難民は約150万人。累計入国(短期含む)は約1,100万人。
- ドイツがEU最大の受け入れ国。
- ポーランド国内のベラルーシ人は約70万人との現地情報(政治的迫害を逃れた事例も)。
- 支援の重心の変化
- 初期の緊急受け入れ・物資提供段階は収束。
- 長期化見込みの中、子どもの教育・交流、コミュニティ形成支援が重要に。
- 家族構成の偏りと課題
- 20歳〜50代半ばの男性は出国制限があり、女性と子どもが多い。
- 学校・地域での孤立やいじめ、言語乗り換えに伴うアイデンティティの揺らぎが顕在化。
プロジェクトの構成と関係者
- 主催・連携
- ワルシャワ・バプテスト教会(会場運営・現地受け入れ)。
- 日本側は常盤台バプテスト教会の呼びかけでチーム派遣。
- 西南学院大学の教員・学生がボランティア参加(プログラム企画・運営)。
- 参加体制
- 日本人ボランティア:27名(沖縄〜東京、海外在住者含む)。
- ウクライナ人若手ボランティア:27名。
- ポーランド人スタッフを含め、運営・参加総数は約150名。
- 子ども参加者:約80名(ポーランド各地から集約)。
活動とプログラム内容
- 文化・学習系
- 習字体験
- 墨汚れ対策として筆ペンを採用(約20本)。楷書の大きな手本を用意し、学齢に応じて写しやすく設計。
- 3年生以下は形の模倣中心、4年生以上は書き順への関心が高まる傾向を確認。
- ベラルーシ出身参加者との対話を通じ、語彙・助詞の即席講座など言語学習が自然発生。
- コラージュ
- 日本のチラシ素材などを活用し、自己表現と対話のきっかけに。
- 音楽体験
- クワイアチャイムで合奏の達成体験を提供。
- 身近な素材(R-1空容器+ビーズ)でマラカス制作・演奏。
- ダンス
- オランダ在住参加者と日本の学生によるHIPHOPワークショップを共同企画・実施。
- 日本玩具
- けん玉を用いた難易度段階づけの遊びで成功体験を積み上げ。
- 習字体験
- スポーツ・チームビルディング
- 運動会(玉入れ・綱引きなど)
- 在ポーランド日本人学校から用具を無償借用。
- チームは青・黄(ウクライナ国旗色)で編成。
- 競技ルールの理解支援に工夫が必要(言語・文化背景差による指示伝達の難しさを確認)。
- 運動会(玉入れ・綱引きなど)
- 日本食の提供・交流
- 現地日本人店「坂本屋」によるおにぎり無償提供(肉・マヨ系が好評、梅干し・昆布は不人気傾向)。
- 日本チームは豚丼を大規模調理(現地調味料・カット事情に合わせた調整が課題)。
- 学習資材の連携
- 指さし会話帳(ウクライナ語×日本語)の寄贈本を活用し、挨拶・自己紹介を促進。
- 次回はひらがな・カタカナ、名前記述などの超入門日本語ワークショップ化を検討。
気づきと学び
- 子どもの反応・関係形成
- 打ち解けが早く、終盤は涙の別れになるほどの絆形成が見られた。若手ボランティアの関与が関係構築を加速。
- 言語・アイデンティティ
- 幼少時避難でウクライナ語運用が弱まる事例も。ポーランド語への適応と母語の維持の両立支援が重要。
- 現地学習から 教育的視点
- ヤヌシュ・コルチャックの実践(子どもによる週次会議・編集会議・新聞作り)は、尊厳と民主的合意形成のモデルとして有益。プログラム内に子どもの声を反映する仕組みの導入余地あり。
- 歴史施設訪問からの視点
- マイダネク収容所跡の見学により、資料の「保存状態」や五感(臭気)の記憶が教育的インパクトを持つことを再認識。現在進行の戦争を学ぶ際の倫理的配慮と実感のバランスが鍵。
- ワルシャワ動物園(ユダヤ人匿いの史実)等の学びを通じ、ロールモデルの提示が子どもに与える希望の重要性を確認。
大下さんのお話から印象に残った事

・ウクライナからポーランドに逃げてきている子供たち、いろんな事情で逃げてきている。 ベラルーシから逃げてきてる人たちもいる。 ベラルーシから逃げてきているというのは、どういうことかっていうと、ロシアとベラルーシは同盟国なので、戦争に加担するというか、加害者側なんだけれども、それに加担したくないということで活動すると政治犯として捕まって、そういうことをやってると殺すぞと言われて逃げざるを得ないという人がベラルーシからポーランドに逃げてきている人達がいる。
・ポーランドの収容所の写真が映しだされ、説明された時に、「人間とはとても恐ろしいものだと」思った。
その反面、この様に支援している人達がいることも人間なのだと思い、人間の素晴らしさも感じながらも複雑な気持ちも起こった。

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