「孫文」「辛亥革命」映画関連の紹介

2022年

旧満州国に関心が引かれていく過程で、1941年12月8日の真珠湾攻撃に始まる太平洋戦争以前に、日本は1931年の満州事変、1937年の盧溝橋事件と中国大陸での「日中戦争」を、繰り広げていったことを知りました。(勉強不足のために、日本の戦争はアメリカ、連合国軍との太平洋戦争だけだとずっと思っていました。)

「日中戦争」というのは、蒋介石をトップとする『中華民国』が相手でありながらも、中国の内情は北洋軍閥や中国共産党との内乱が続いている状態だったようで、日本軍の前線兵士にとっては誰が一体敵なのか、どこから攻撃されてくるかわからない恐怖と不安の中での戦いだったのではないかと、想像するのです。

その『中華民国』というのは、清朝打倒と共和制国家樹立のために、孫文をリーダーとして中国各地で武装蜂起した「辛亥革命」という、その革命の成功の下に樹立した政府。

最近、続けざまに『孫文』『辛亥革命』に関するDVDを3本、鑑賞しました。

映画を見ながら、戊辰戦争、明治維新と重なりました。今の世の中を打開、変革していくために、大義名分を掲げ、武力によって理想の社会を創り上げたい。

その理想の青写真を描いているのは、往々にして身分社会の階級で言えば、上級の知識層の面々です。
しかし、その青写真実現のために、血を流すのはその戦いの意味すら知らされていない、下々の若者たちではないかと思いました。

戊辰戦争や明治維新、辛亥革命によって、人々の暮らしぶりが明確に改善、向上したのかわかりませんが、3本の映画を見て、思ったことは、
 
『あまりにも多くの人が、死にすぎる』  

ただ、その一言でした。

人権を踏みにじられながら、劣悪な環境に甘んじて生きていくことも我慢できませんが、そのことを打開するために「革命」という名のもとにあまりにも多くの人のいのちが失われていくことも是認しがたいです。

『1911』 

1911年の辛亥革命をテーマに、孫文の右腕として革命成就に尽力した黄興こうこうを主人公に描かれています。20世紀初頭、清王朝は衰退の一途を辿っており、国を憂う若者たちは王朝の打倒を掲げ、各地に革命組織を結成していきます。ハワイへの留学経験を持つ孫文も革命を志しますが武装蜂起に失敗し、日本に亡命します。そこで義に厚く人望のある黄興と出会い、同志となり、孫文から中国国内での革命活動の指揮を託された黄興は、1911年4月、広州にある総督府への襲撃を決行していくのですが・・・

参考資料:【TSUTAYA DISCAS】

※鹿児島市の南洲公園(南洲墓地や南洲神社がある場所)の一角に、
『黄興の碑ー黄興先生、南洲墓地参拝の碑』があります。

鹿児島市日中友好協会により、平成19(2007)年9月長沙市との友好都市盟約25周年を記念した交流された碑です。

日本に留学していた黄興は、西郷隆盛を尊敬していました。辛亥革命に携わった人々は、日本の明治維新を手本にし、中でも西郷には傑出した存在としての畏敬の念を抱いていたことが伺えます。

黄興は、明治42(1909)年、友人の宮崎滔天みやざきとうてんの案内で鹿児島を訪れて、南洲墓地を参詣した後、以下の詩を賦しました。

「八千子弟甘同塚 世事維争一局棋 悔鋳当年九州錯 勤王師不僕王師」

〈意訳〉「何千という私学校の青年たちが師と仰ぐ、西郷と同じ墓に眠っている。維新後の日本は混沌として、めまぐるしく変わる囲碁の局面のようだったのであろう。
悔やまれるのは、九州に西南の役が起き、それが失敗したことだ。勤王の志のあつい彼らは最初から天皇に反抗してその軍隊を倒そうなどという考えなどなかったはずだから」
(参考資料:かんまち本 その2 上町維新まちづくりプロジェクト発行)

『孫文-100年先を見た男-』

1910年、孫文は日本から国外退去させられ、活動拠点を東南アジアに移していきました。
革命前夜の1910年、マレーシアのペナンで逃亡生活を送りながら革命の資金集めに奔走する姿と、孫文を支援する富裕華僑の令嬢と孫文を陰で支える女性とのドラマが描かれています。

参考資料:【TSUTAYA DISCAS】

『孫文の義士団-ボディガード&アサシンズ-』

清朝末期、辛亥革命前夜の香港。ある時、同志たちと武装蜂起へ向けた協議を行うため孫文が香港入りするとの極秘情報が流れます。このチャンスに西太后は500人もの暗殺団を送りこみ、これに対し、市井の民を集めた義士団が結成されます。

彼らに課された使命は、孫文の影武者と共に囮(おとり)となって、武装蜂起の協議が終わるまでの1時間を暗殺団相手に戦い抜くというストーリーです。

参考資料:【TSUTAYA DISCAS】

後記

「孫文の義士団」という映画は、革命というものがどのような人々の思想の中から、そして、どのような人々によって行われていくか。とても、崇高な目標実現のためのようですが、そのたもとで、悲しむ人の存在を教えてくれます。その悲しみよりも革命というものは、そんなに大事なことなのかと考えさせられます。

しかしながら、革命という行動を起こさねばならない人々の存在も、その時の人々、時代から生み出されたもののように思われます。

「孫文の義士団」は、アマゾンプライムで、他2編はTSUTAYAレンタルで、見ることができます。


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