「戦う勇気」から「逃げる勇気」へ:本の紹介『文化の脱走兵』奈倉有里著

2025年

 いつも、“私を殺そうとしている人が目の前に現れたら、私はその人を殺してしまうのだろうか、きっと、殺してしまうのかもしれない、でも殺したくない”、とそんなことばかり考えている日々に、“逃げる”という新たな方法を教えてくれた本です。
 “でも、逃げても、後ろから殺されたら、どうしよう”、と思いましたが、自分が人を殺さないぶんだけいいなかぁ、と思ってます”(-“”-)”

「文化の脱走兵』 奈倉有里著

「文化の脱走兵」より引用

 世界中で戦争が続き武器が作られ輸出され、巨大な暴力は巨大な産業と結びついています。「戦争は戦場だけで起きているわけではない」ことを実感する機会が増えたかたも多いと思います。
 その巨悪さと巨大さ、そしてその社会で生きる自分もまたどこかでその構造に関与してしまっている現実を考えると、自分になにができるのかがわからなくなることや、絶望してしまいたくなることもあるかもしれないません。
 それでもやはり、気づくことは気づかないことよりずっといいし、非戦のために自分ができることを考えるのは、それだけでもすでに意味のある、尊いことです。

 どうかあきらめずに、なによりも大切は自分の内面世界を守りながら、一緒に逃げ続けてください。絶望してしまわないためには物語が必要です。脱走兵の讃歌と、あたたかい思い出と、世界中の子供たちのぶんのクルミを抱えて逃げる決意をしてしまえば、どこかで同じように非戦を希求する仲間に必ず出会えます。

 ではそろそろ、私も狸になって脱走を続けます。走りついたその先で、またお会いできるときを楽しみにしています。くれぐれも心身を大切に、お元気いてくださいね。

※上の文に出てくるクルミと狸については、ぜひ全文をお読みになってください♪

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