「つくりだされる差別感に巻き込まれた男の子の死 ー中国・深圳ー」

2024年

 中国の深圳で10歳の男の子が刺殺された出来事は、とても痛ましいことです。
この世に誕生して、わずか10年のいのちです。ご両親の心中は如何程かと察せられます。
何故、彼は他者からの危害により、亡くなってしまわなければならなかったのか?

 このことに関して、戦争を語り継ぐ集いに参加している有志のお一人、瀬下三留さんとラインでのやりとりがありました。
 後世、この事件に関して2024年に生きていた私達がどのように感じていたかを記録に留めておきたいのです。答えが出なくとも、意見の異なる者同士が対話し続けていくことを大事にしたいと思っています。

―瀬下さんからの発信ー

今回の事件の原因のひとつに、長年の当局による反日教育によるものではないかと言われています。

東京大学で中国問題を専門とする、阿古智子教授は「この悲劇は予想されていたものです。長年にわたり、中国当局は国民に反日教育を続け、憎悪を煽り続けできました」

中国は今年に入って次にあげる日本に対する挑発とも取れる実力行使を行ってきました。

または中国当局が発表したように「事件は偶発的で、容疑者が単独で行った。このような案件はいかなる国でも発生する」ものなのか。

たしかに、中国国内では日本人に限らずさまざまな外国人が事件の犠牲になっているようです。

wikipediaで反日感情を調べてみると、
「中国・朝鮮半島の「反日」感情は自然発生的なものではなく、様々な教育によって人為的に形成・増幅された特殊な感情であるとする。このため、教育的な「反日」感情の露わな朝鮮半島と中国を「特亜(特定アジア)」と区別するなどして、その他の地域とを区別して取り扱うことがある。世界各国を対象とした各種の調査において「特定アジア」が日本を否定的に捉える比率は突出して多い」と日本の右派、保守派は捉えています。
 参照 ・被害者のお父さんの声明 SNS “X”より
   https://x.com/kadotaryusho/status/1837344499368087881?s=53&t=nMvOM77CLxWLtAs6dQqFxQ

    2011年BBC ワールドサービス国際世論調査調査対象国別の対日本観
    2013年BBC ワールドサービス国際世論調査調査対象国別の対日本観
    2017年BBC ワールドサービス国際世論調査調査対象国別の対日本観
     

-山下からの応答ー

柳条湖事件の9月18日とも関連があるとのことでしたので、その事件のことをネットで検索し、安冨歩氏(東京大学名誉教授)の日本近代史講座のユーチューブ再視聴し、日本と中国の歴史を再学習しました。先ずは、子どもさんを亡くされたご両親の気持ちを思うと、何とも言えない気持ちです。きっと、何で我が子なの?と思う気持ちも沸き起こったのではないかと思います。私は子供はいませんが、子どもは仏さまからの預かり物、人類の宝物だと思うのです。そのいのちが、奪われることは悲しいことです。

Xの投稿を読みました。とても立派なお父さんだと思いました。しかし、投稿の下段を読んでいくと、この投稿さえ、本当のことなのか疑われるようなコメントが投稿されるんですね。SNSでこのような情報などが氾濫していると自分の考えというものは、もともと存在せず、為政者の有利な情報にコントロールされていくのでしょうね。私の父なども、「朝鮮人は、チャンコロ」などと言い、野蛮人のように言うことがありました。大日本帝国の見事な刷り込み教育の賜です。私は父に向って「実際、朝鮮人の人と会ったことがあるの?」と反論するのですが・・・。

ー瀬下さんからー
確かにSNSは玉石混交で、信頼できる筋の話をピックアップするしかないですね。

朝鮮人を「チャンコロ」と言っていたのは、おそらく普通の事だったと思います。
それが悪い事だとは、強く意識していなかったのではないでしょうか?

9月18日の「国恥の日」だから起こった事とか、その日にただの偶然に起こしたとか、どちらかわかりません。
おそらく中国当局は解明してもほんとの事は発表しないでしょう。

6月の蘇州の事件も明らかにしてません。
まずこのような不幸な事件が起きないようにするためには、どうしたらいいか日本政府は考える必要があると思います。

ー山下からー

確かに、そうですね。個人的には信用も、当てにもしてない日本政府ですが、国民の安全を守る義務があるのですから、純粋にいのちを守ってほしいです。
いのちを差別することを、悪いことと思わず、無疑問的に追従していくことが、一番問題だと思います。でもそれは時として自分では気づかないうちに、他者を差別してしまうんですよね。

ー瀬下さんー

そうですね。
いのちに国境はありませんが、残念ながら人には国境があります。
それがない故、パレスチナの人々はイスラエルと戦わざる得ないのだろうと思います。
私たちには不満タラタラでも日本政府があります。(外交やその他ではまったく国民を守ってくれてるとは思えませんが)

差別はリベラル左派の人によると、右派、保守の専売特許のように思われてますが、意外とリベラルな人の右派に対する差別はすごいです。

話を中国に戻しますと、今年に入ってからどういう出来事があったか、今から調べています。それが原因かはわかりません。

パレスチナの住民がイスラエルと戦っているというのは間違いです。
ハマスやその後ろにいるイラン等が戦っている事の巻き添えが正しいかと思います。

―山下からー

「いのち」と「人」は、違うんですか?私も立派な差別主義者です。私は他人によく思われようとして、そのことを表に出さないだけです。私の仮の姿に騙されてはいけません。

ーパレスチナの住民がイスラエルと戦っているというねは間違いです。
ーハマスやその後ろにいるイラン等が戦っている事の巻き添えが正しいかと思います。

なおさら、巻き添えになっている人々は、悲惨ですね。中国で殺された子供さんも各国感情の巻き添えでしょうか?

ー瀬下さんー

もし中国の反日教育によって、犯人が煽られて日本憎しと、この事件を起こしたとすれば、完全に無関係な”巻き添え”だと思います。
それは6月の蘇州の事件で日本人母子を守ろうとして、死亡した中国人女性も同じく”巻き添え”の被害者です。

もういい加減、こんな事は繰り返してはいけない。

5月に呉駐日大使が、「日本が台湾との関係を巡り、中国の分裂に加担すれば日本の民衆が火の中に連れ込まれることになる」と発言した事が、中国の官・民の対日行動の引き金になったとする解釈もあります。
それ以降、より対日活動が頻繁になっています。

ーMさんー

6月 蘇州での日本人学校のスクールバスで下校中の子どもを乗せてバス停に到着した際に、刃物を持った男に襲われ迎えに来ていた日本人母子が怪我をし、男を止めようとした中国人女性が死亡した。

8月 長崎沖領空侵犯
8月 測量艦鹿児島県沖領海侵犯
9月 空母「遼寧」を含む6隻が沖縄の接続水域に領海侵犯
9月23日 ロシア機により北海道に領空侵犯
と立て続けに2国から侵犯され続けるようになりました。

自国が領空侵犯されたら、民間機でも狙撃するような国です。
うっかり間違えて侵犯することはありません。
なぜこのように日本に侵犯できるかの答えは一目瞭然です。

映画の紹介 「私は憎まない」

アイキャッチ画像は、映画「私は憎まない」のフライヤーです。
鹿児島市マルヤガーデンズシネマでも上映予定です。2024/10/26(土)~11/1(金)※29(火)休館

            オフィシャルサイト「私は憎まない」から
【解説】
3人の愛娘を殺されながらも共存の可能性を信じ、平和と人間の尊厳を追求するガザ出身の医師イゼルディン・アブラエーシュ博士に迫ったドキュメンタリー。

ガザ地区の貧困地域出身で、パレスチナ人としてイスラエルの病院で働く初の医師となったアブラエーシュ博士。産婦人科でイスラエル人とパレスチナ人両方の赤ちゃんの誕生に携わる彼は、病院で命が平等なように、外の世界でも同じく人々は平等であるべきだと、医療で分断に橋を架けようとしてきた。しかし2009年1月、自宅がイスラエル軍による砲撃を受け、3人の娘と姪が命を落としてしまう。

砲撃直後、博士の涙の叫びはイスラエルのテレビで生放送されたが、翌日になると彼はテレビカメラを前に憎しみではなく共存について語り始める。決して復讐心や憎しみを持たない博士の赦しと和解の精神は世界中の人々に感動を与え、自伝「それでも、私は憎まない あるガザの医師が払った平和への代償」は世界的ベストセラーとなった。しかし2023年10月7日のハマスによるイスラエルへの攻撃、それ以降のイスラエルによるガザへの攻撃を経て、彼の信念は再び試されることになる。

2024年製作/92分/カナダ・フランス合作
 

コメント

  1. せしたみつる より:

    イゼルディン・アブラエーシュ博士のように、自分の娘、姪が砲撃されて殺されてなお、憎しみではなく共存を、とはなかなか言えるものではありません。
    人として立派な事だと思います。私には絶対出来ないです。
    しかしもし恨みを持ったとしても、恨みを持たないよう努力したとしても解決できる問題なのかな、と思ってしまいます。
    身も蓋もない言い方でどうかと思いますが。

  2. 春光 より:

    コメント、ありがとうございます。自分にできるか、できないかは、わかりませんが、そうありたい、と思います。