「南の島から、妹・弟を想う・・・」ー戦地からの手紙②ー

2023年

久し振りに便りが書けます。
皆様方相変らず御達者にてお過しの事と存じます。

北辰斜ほくしんななめにさす所 椰子の葉茂る 常夏の国で 今年は正月を迎えました。
青い空、瑠璃色の海を眺めて椰子の実の汁を飲んでいます。

心身共に健全顔も手も体も黒く灼けました。年末には海水浴もやり背中から腕にかけて
きれいに一皮剥げました。

夜分は、かなり冷える様です。それにしてももう冬などという季節は忘れてしまった様です。今年の正月はどうでしたか?

正雄も博美も元気でしょうね。
典美は今年で卒業、専攻科へ行くのですか。本人の希望通りにしていいと思ひます。
体が弱くて東京旅行に行けない、と云ってきてゐましたが、返事も出す事が出来ないまゝに過ぎてしまいひました。

東京は何時でも行けるのですから、何より体を丈夫にする様に伝えてください。

綾香も照美も朗らかな事でしょう。民ちゃんは?元吉にもよろしく伝えてください。

又、次の機会に書く事にします。皆様方御自愛専一に。

(十七年)一月二十一日書              

御両親様

〈差出先〉比島派遣海七〇一六部隊 山田隊

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