「おしゃべりは、国境を越えて」

2023年

去る3月の下旬、知人のスイス人が鹿児島へやってきました。
スイスは、永世中立国であるため、日本に住む私たちが学べるべきことが何かあるのではないかと思い、3人の知人と宿泊先のオーナーさんも一緒に「おしゃべり会」をしました。

以下は、参加してくださった方、お二人の感想です。

Nさん 男性 60代

ある旅好きなスイス人の60代男性と邂逅するチャンスがあった。
現今のウクライナ紛争進行中ということもあり、民主主義国家スイスとして、置かれている立場も微妙だろうなとは思っていた。

彼はスイスの中立国としての歴史の歩みから話し始めた。
中立であることの難しさ、そして内陸国ということもあり、陸続きという地勢的な位置からも他国からの侵略に常に準備しなければならないので、中立という選択を選んだこと。そして、その言葉とは裏腹に大国の横車でグレーな対応をせざるをえない実態も明かした。

彼の淡々としたしゃべりを聞いていると、とても信頼のおける内容だと感じるとともに、近隣の大国が大国だと主張することの愚かさを感じた。

そのスイス人男性と、どういうわけかモスクワ生まれのロシア人男性まで同席することになったのは、なんという巡りあわせだろう。最初はロシア人ということで少し遠慮がちなしゃべりだったが、話を進めていくうちにジョークまで飛び出すことになり、有意義な”国際交流”となった。

以前、イラン、パキスタン、ベトナム、イギリス人と懇意に話をすることがあったが、「出会った国の人を知ることでその国に親しみが湧く」という言葉を聞いたことがある。まさに交流、出会うことで「憎めなくなる」という現象が起こる。戦争回避の手段はまさに「交流」ということが大きな手段だと思う。

相手を知らないことが疑心暗鬼を生み、誤解を生み、愛国心という美名で一方的な行動をとる愚かさを人類は何回も経験している。

もうこの辺で、相手を知って、自分も知ってもらいお互いに平和に幸福を考えられる地球人になりたいと、彼らの話を聞きながら強く思った。

Mさん 女性 70代

スイスに徴兵制があり、飛行機の滑走路がいざというとき、軍用機の滑走路として使われる、と読んだことがあったので、有事への備えはしてある、と思っていましたが、兵器の輸出をしていると聞いてショックでした。

 日本も永世中立国に、と考えていたのですが、国をそのように維持していくことは、簡単なことではないと知りました。

編集後記 山下

4年前、知人が鹿児島へ来た時、私はスイスがどのような方法(歴史や政策、国民の意識)で永世中立国という立場を保つことができているのか関心があり、質問をしました。
約200年前のウィーン会議により、スイスの独立が確認され、永世中立国として認められたとのこと。

ということは、それ以来、スイスは戦争をしていない、
戦争によって亡くなった人がいない、
愛する人を失って悲しむ人も生まれてはいない、
人を殺したり、自分だけ生き残ったりした人のこころの苦しみを生み出すこともない。

しかしながら、その永世中立国を維持していくことが、ウクライナとロシアの戦争によりどんなに困難になってきているか、ということを、スイスに住む知人の話から今回、知りました。

以下の記事から、心に留まった言葉があったので、書き記しておきます。

永世中立国スイスに学ぶ、日本人の覚悟とは 
『スイス人は自らの生活や環境を守るために何が必要で、
何を受け入れ、何を制限すべきかを判断しています。
この考えが根本にあるため他国からの批判にも左右されることはありません。
そこには永世中立国という選択をした国の覚悟が感じられました。
自らの国は自らが守るしかない、決して綺麗ごとだけでは守れないことを知っています。』

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