スイスからの便り 民主主義の実践「高速道路建設の是非を問う」

2024年

10月末から3週間ほど、鹿児島を訪れていたスイス人の知人が、11月末に帰りました。
その知人から、先週(12月上旬)メールが届きました。

その内容は、スイスでは、4つの国民投票が行われる、ということを知らせてくれるものでした。

1. 6本の高速道路を4線から6線に延長。

2. と 3. 賃貸契約の条項の変更。

4. 政府健康保険の資金調達システム。

2024年11月25日 国民投票の結果

知人にとって、2・3・4は、あまり興味深いものではなかったようですが、1の内容については、以下のように書いていました。

スイス連邦参事会と議会の両院は、交通量の多い高速道路6区間を4線から6線に拡張し、トンネルの幅を広くすることを提案し、決定した。彼らは、交通渋滞が多すぎるため、人々は渋滞に巻き込まれて多くの時間を失っていると主張した。70kmの新しいトンネルと線路には800億円の費用がかかるだろう。

さまざまな環境団体や社会民主党、緑の党は、これらの拡張に反対する国民投票のために10万以上の署名を集めた。その政党この非常に費用のかかる拡張に強く反対した。それで政府はスイス全土で投票を実施させました。

驚くべきことに、スイス国民の大多数は、これらの拡張に反対票を投じ、反対が 52.7%、賛成が 47.3% でした。

主な議論は、コストが非常に高いことと、農地が破壊されるということだった。しかし、最も重要な議論は、高速道路が良ければ良いほど、より多くの交通が集まるということだ。ドライバーが渋滞に巻き込まれると、車をあまり利用しなくなります。したがって、高速道路をもっと多く、より良いものにするべきではありません。

私たちはこれを交通政策の転換点だと考えています。これまで、人々は車と高速道路が最優先であると考えてきました。しかし今、人々はもう十分だ、車が引き起こす環境破壊を考慮しなければならないと考え始めています。

それは素晴らしい成果だと思います。

スイスは、「直接民主制の国」です。
直接民主制というのは、国民が連邦政府の決定に意見することを可能にできる政治システムを持っている、ということです。詳しいことは、スイスの直接民主制

日本の政治制度は、議会制民主主義 · 議院内閣制 であり、
私たちは、議員を代弁者として、国政へ意見を反映させている、という間接民主制であります。

そのような制度の違い(スイスと日本)を含めて、スイス人の知人が来鹿している3週間の間に、いろいろ話をしました。
私も、知人と話すことで、日本の制度について調べて、知ったこともありました。(実は自国のことは知らずに、他国のことばかり、質問していた自分がいました。)
その内容を今後、このブログで紹介していきたいと思っています。

コメント

  1. せしたみつる より:

    直接民主主義のスイスと議員内閣制の日本との違い、まざまざと感じます。
    日本は首相だって国民が選ぶ事はできません。
    スイスでは高速道路の車線増幅などでも国民投票するなど知りました。
    どちらがいいかは一概には言えませんがが。国民の意思がハッキリわかるのは直接民主制の仕組みですね。
    もし日本がスイスと同じような制度だったら、訳ねわからない議員が政策を決めて、納得いかない国民を置き去りにして政治をすることも少なくなるでしょう。

  2. 春光 より:

    コメント、ありがとうございます。直接民主制の基礎は、国民が生活を政治と考えているからだと思います。政治は、決して権力者のための、名誉栄達のためではないし、国民が政治家を利用することでもないのでしょう。