映画紹介「蟻の兵隊」と「再会の奈良」 

本・映画等の紹介

『蟻の兵隊』 

 ―世界で初めて”日本軍山西省残留問題”に正面から斬り込んだ長編ドキュメンタリー映画ー
 公式ホームページ

2020年12月5日、鹿児島市のマルヤガーデンズ7階にある「ガーデンズシネマ」で、
2日間だけ上映されるということで見に行きました。

最初、題名からどんな内容なのか全く想像することができなかったのですが、
最後、つけられた題名の意味がわかる頃には、『蟻』という存在に象徴せざる
得なかったこの映画の登場人物たちが抱える怒りや悲しみが重くのしかかってきました。

あらすじ(ざっくり)

終戦当時、中国山西省にいた陸軍部隊がその後も残留し、
中国国民党系を支持する兵隊として4年間、共産党軍と戦った中国山西省残留問題。
その残留兵隊の一人、奥村和一さんが戦後帰国し、中国山西省残留問題の真相を解明していこうと
する姿を追ったドキュメンタリー映画。

中国山西省残留問題 ←をクリックすると、詳しい説明がでます。

感想

映画の中で奥村さんが、初年兵教育ということで、中国人を刺殺するよう命じられた場所を訪ねていくシーンがありました。
向き合いたくない過去の事実に、奥村さんが避けることなく向き合い、現地の人々と交流する姿に、胸が締めつけらるようなとても苦しい気分がなりました。

この映画を見るまで、戦争が終わっても、中国で戦争をしていた日本人兵士がいたことなど全く知りませんでした。この内戦に加わった日本人兵士の方々で、日本へ帰ってこられた方々の多くは、すでに亡くなっておられるかもしれません。。だからこそ、この方々の人生に起こったことを忘れてはいけない、と映画が教えてくれているのだと思いました。

『再会の奈良』

ー日中国交正常化50周年 今年、2022年に日本劇場公開となった映画ですー
予告編

2022年3月22日 「ガーデンズシネマ」に見に行きました。
「戦争を語り継ぐ集い」に集まる方々の多くは、旧満州からの引き揚げの方が多です。
そのため、私も中国残留孤児や満蒙開拓団のことなどに関心を持つようになりました。
この映画も残留孤児をテーマにしたものでした。

あらすじ(ざっくり)


中国で日本人の残留孤児を育てていた女性が、1994年に日本へ帰っていった孤児(養女)
からの連絡が途絶え、心配して探しに来たのである。
頼ってきたのは、日本に住んでいる残留孤児2世である知人の娘。
ひょんなことから知り合った警察官の男性と知人の娘、3人で、養女探しを始めていく
物語。

感想

養女を探していく過程で、訪ね歩く人々から3人は、その養女が日本でどのように暮らしていたかを、知らされていきます。

50年前に日本と中国の交流が再開され、戦時中取り残された日本人で、自分の親族の下に帰ることができた人々がいました。
そして、その人たちがせっかく帰ってくることができた日本で、どのような待遇で暮らしていたのか、
ということに関心をもったことはありませんでした。
この映画でも、戦争を原因として今も起こり続けているすれ違いの悲しみを感じました。

2つの映画から

昭和20(1945)年に、戦争が終わって、すでに77年も経つのに・・・・・・・

未だに、戦争が生み出した出来事によって苦しんだり、悲しんだりしている人たちがおられるということです。そのことを忘れないために、「戦争を語り継ぐ集い」をしているような気がします。

 筆責:山下春美

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