「自衛隊とは、何だ?論について」②

2025年

自衛隊は国民を守らない 瀬下 三留

今回は前回に続いて、AMEBA TVのディスカッション番組の中で、佐高氏が栗栖弘臣氏著の「日本国防軍を創設せよ」を引き合いに出した真意を計るために読んでみました。

佐高氏は番組の中で「自衛隊が国民を守ると思っているのは間違いだ」と言っていました。
トーク参加者は、その「守らない」発言に唖然となったようでした。

そこで佐高氏が「自衛隊は国民を守らないのだ」という論の基になった「日本国防軍を創設せよ」を分析しました。

本書の主張の中心にあるのは、現行自衛隊制度では有事の際に国防が有効に機能できるか疑問であり、それを解決するためには憲法9条、防衛体制、政府統制に限界があるので日本防衛として制度・法的基盤を見直すべきという理論でした。ほかにも現行自衛隊法の様々な問題点をあげています。

✴有事対応への盲点

本書は2000年刊行の書で あるので、その後の安保法制によって防衛環境は若干整備されて改善された部分はあります。2015年に国会では安全保障関連法によって、限定ながら「存立危機事態」の行使が可能にはなっていますが、まだ充分と言えるものではありません。

日本の自衛隊制度は諸外国の通常軍隊と違い、有事の際「やっていい事」しか実行出来ない(ポジティブリスト)。
各国軍隊は「やってはいけない事」(ネガティブリスト)だけが明記されていて、戦争の場面では「やっていい事」が多い方が有利です。
それに引き換え、自衛隊は「やっていい事」が少ないので実質的には軍事力・機動力等に欠けています。

栗栖氏が最も強く批判しているのは、憲法9条と政府解釈。

自衛隊は「軍隊ではない」ため、武力行使は「必要最小限度」に制限されています。
国際法上の交戦権を否定しているため、先に撃たれないと撃てない(専守防衛)仕組みになっています。
いわば、自衛官や国民に犠牲者が出ないと軍事防衛出来ないという事です。
このような建て付けにおいてはグレーゾーンの多い有事現場では動けない。
     ↓
【結果】 
有事でも厳しいシビリアンコントロール(文民統制)下で”政治判断待ち”が多くなり現場事態はさらに悪化していく   
     ↓
それはどういう事を意味するかというと、例えば一例として敵国が日本に向けてミサイルを撃ち込む事が明らかな場合でも、自衛隊はそのミサイルを迎撃するミサイルを発射するのに、国会決議か内閣決議の承認を取り付けるまでの時間を要する事になり、状況を悪化させることになりかねません。

「自衛隊は国民を守らない」発言について

佐高氏が現行自衛隊を否定する為に番組内で引用した栗栖氏の表現は、本来は栗栖氏による自衛隊員の意志や能力を否定するという意味ではなく、現行制度と法体系の欠陥を指しています。

さらに栗栖氏の主張は、現行自衛隊は巨大な警察組織の延長であり国家・国民を最終的に守り抜く組織になっていないというもので、その結果、「自衛隊は国民を守らない」と表現され、実態は「守れないように縛られている」という事です。

・私の感想

★佐高氏は本書著者の本来の主張を伝えず、「守らない」部分のみを切り取って自衛隊論をミスリードする意図があったのか、または「国民感情をコントロールする必要がある」と、とんでもない発言した立憲の大物議員と根っこは同じか、と思えます。
だとすれば、「服務の宣誓」を行って日々訓練・任務にあたって国家・国民を死守しようとしている22万人を超える全ての自衛官を侮辱するような発言でしかありません。

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