最終章
寒い朝
私が子どもたちに満州での事や、そして夏江の事をもうそろそろ話して聞かせようと思っていた昭和48年1月13日のこと。
その日はすごく寒い日だった。
私は朝、いつものように店のシャッターを開けて店内の掃除にかかろうとしていた矢先、突然の胸の圧迫感と息苦しさを感じて意識を失ってしまった。
はるか遠くから声が聞こえる。
「お父さん!しっかりして!」「病院へ、病院へ!」
今どこにいるのかわからない。
「瀬下さん、聞こえますか?気分はどうありますか?」
「吐きたい•••」
そのまま息を引き取った。
倒れてから、わずか2時間の出来事だった。
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