「今、起きている戦争について知ろう」9月14日(土)

2024年

9月14日(土)鹿児島市民福祉プラザ4階活動室1において、標記テーマで「集い」を開催しました。

鹿児島イスラム文化センターのイサム・ハッサンさんから、今、起こっている戦争、「パレスチナ・ガザ・イスラエル」のことについて、お話を聞きました。

 イサムさんは、エジプト出身、現在鹿児島市内で英会話学校を経営され、鹿児島イスラム文化センターでは、イスラムやハラルについて理解を深めてもらうための広報活動をされています。

 1967年6月、第3次中東戦争といわれるイスラエルとアラブ連合(エジプト・シリア)の戦争が起こった時に、イサムさんはエジプトの家でイスラエル軍からの空爆を受けたそうです。
 わずか、3.4歳だったイサムさんは、空襲を受けた時、母親の名を叫び、逃げる場所のなかった体験を、「とても怖いでした。」と、つい昨日の出来事のように語られたことは、とても衝撃でした。

 その体験や中東の歴史的背景からイサムさんのお話は、パレスチナ側からの視点として、イスラエルという国と今、起こっている現状について詳しく話をしてくださいました。

 パレスチナでは、空爆により、毎日、毎日亡くなっていく人が増えていく。戦争が始まって以来からの亡くなった人数を書かれた紙を見せ、説明してくれるイサムさん。
 「このように皆さんの前で話をさせてもらうたびに、この紙に書かれた死者数を変更していかなければならない。」と、忸怩たる思いで語るその姿に、参加者も他人事には感じられない空気感が漂いました。

 そして、瓦礫の下などで助け出されない人の数は、この数字には含まれていないので、まだまだ多いはずとのこと。しかし、亡くなった人を数字化してしまうことは、亡くなった個人を見えなくしてしまう。いのちとは、数字ではないのです、と強く言われました。

講演後、参加者からの感想や質疑   赤色マーカーはイサムさん応答

ーイサムさんのお話は、パレスチナ側からのお話だったと思うので、不可能かもしれませんが、イスラエル側からの話も聞いてみたいと思いました。

ーイスラエルを支援している日本企業が多いことを知り、驚きました。出来ることがあるとするならば、そのような企業に対しての非買活動などもできるのでは。

ーイサムさんの話を聞き(イスラエル側の非人道的な戦闘)、戦争って何でもやるんだぁと思いました。ウクライナとロシアの戦争にしてもロシアのことばかりしかメディアでは出てこないが、ウクライナもひどいことをしているもかもしれない。それは、ミャンマーやバングラデッシュでも同じかもしれない。どうして、仲良く笑って暮らせないの?何で?と思う。
ー戦争がなければ世の中の景気が良くならないから、戦争をします。武器には賞味期限があります。消費しないといけない。だから、計画的に戦争が起こります。アメリカは強い国ですが、国民健康保険がありません。国民の福祉のために税金は使われていません。(アメリカの軍事予算は世界一)

ー今日の話を聞き、知らない事を知る事が出来て良かった。自分にできることは周りの人に今日聞いた事を伝えていくことだと思う。
子どもさんも連れてきてくださったんですね。ありがとう。こどもいのちは、世界中どこでも同じ。いのちに国境をつくっている。どこの国に生まれてもいのちは大事にされるべき。

ー病院や学校が攻撃されて子供たちがたくさん亡くなっているが、神は子供たちを殺してもいいとユダヤ教、イスラム教では教えているのでしょうか?啓蒙思想家 レッシングの 劇詩『賢者ナータン』の台本では、ユダヤ人であるナータンが、イスラムの人にどうすればいさかいをなくして、仲良く暮らすためにはどうすればいいんだ?という作品を作っていますが、どうして宗教者同志が話し合いでできないのかということが、この年になってもわからない、ということころが実情です。
ーこの戦争は宗教の紛争ではありません。いのちは大事。人を殺してはいけない、というのはどの宗教も同じです。これは政治家の問題。「国を守るために、平和のために戦争しましょう」と言います。
(後日、質問者の方より、「話して理解しえないなんて、人は分かり合えるはずだと訴える政治家がいるはずだと思います。」という願いを込めたコメントを頂きました。)

ーメディアの伝え方は、力の強い立場側に有利な情報だったりする。真実が伝わらない。真実を知ることが大切だと思う。

ーこういう話が出来る場があることがいい。こういう話を日常的にしていくことが必要だと思う。今年の長崎の平和祈念式典にイスラエルを招待しなかったら、ヨーロッパの代表も来なかったことで、アメリカ側なんだと認識させられた。イスラエル内でのパレスチナ人は、南アメリカのアパルトヘイト政策と同じだということについてもう少し聞きたい。
ーイスラエル国内では、パレスチナ人は人間扱いされていません。イスラエル人は、パレスチナ人に対して住む場所、食べる場所る道、働く場所、全く同じにしません。

ーイスラエル国内に住んでいるパレスチナ人もイスラエル軍に徴兵されているのか?また、昨年の10月7日、イスラム組織ハマスのイスラエル攻撃は、両方幹部は知っていた、という話もあるが、そうなのか?
ーパレスチナ人の失業率は高いので、軍に入れば良い給料がもらえるので入る人もいる。イスラエル軍で一番多い兵隊はインド人です。インドからお金で兵士雇っているのです
ー残念ながら、知っていました。ネタニヤフ政権延命のためにイスラエルはハマスに攻撃をさせた。しかし、こんなに続くとは予想していなかった。

ー今、戦争を止められることができるのはアメリカだと思うが、アメリカはイスラエルを支援しているので、終わらないのかあと思う。日本もイスラエルの企業を支援しているようなので、日本政府も変わらないとガザへの空爆も終わらないと思う。

ー日本政府が、NISA という投資信託をして資産を増やすような働きかけを国民にしているが、その投資をして設けられそうな企業500社を構成しているのは、アメリカの企業である。その投資は、イスラエルを遠巻きに支援することになるのではないかと思うので、じっくり考えているところです。

参加者から募金箱に4,000円の寄付があり、
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)に寄付しました。
このブログにて報告をお礼を申し上げます。有難うございました。

編集後記               山下 春美

 今となっては、この戦争の原因を究明し、いろいろな情報を収集して、真実と思われるものを知ったとしても、絡まりすぎた糸をほどくことなど到底できない紛争のような気がする。決して、一般国民は戦争など望んでいないのに、戦争が起こってしまうこの不可解な世界は何なんだろう。
 政治家たちから不安や脅しをかけられながら、母国の平和のために軍備増強を許してしまっているのではないか。

 国家や政治家の権力欲や名誉欲、損得で繰り広げられる世界各国の建前と本音の紛争のおかげで、全く関係のない子どもたちが犠牲になっていくことをこのまま続けることだけは止めてほしいと切に願います。

 この戦争を止めるために、「私たちにできることは何ですか?」という問いに、イサムさんが、「日本の政治家の人たちに、子供たちの給食費を無料にしてください、子供たちの医療費を無料にしてください。と税金を軍備費ではなく国民の福祉に使うようにお願いすることです。」言われました。
 そして、また「イスラエルを支援している企業から物を購入したりすることを止めることです。」と。

 イサムさんがイスラエルを支援している企業名を挙げられた時、私はゾッとしました。
なぜなら、私はアマゾンもマクロソフトも楽天もグーグルも投資信託の儲かる企業への投資をも利用しているからです。
今日の話で明らかになった真実は、私もこの戦争を止まらせないことに加担している一人、なのだということでした。

 

コメント

  1. 天羽浩一 より:

    ハッサン・イサムさんのお話を聴かせていただきました。印象的なのはオスマントルコの時代、ユダヤ教徒もキリスト教徒もイスラム教徒も同じパレスチナで共存していたということです。宗教が問題ではなく、宗教を利用する政治家、ナショナリスト、そして教義を都合よく解釈する宗教指導者によって分断と対立が起こるということです。ユダヤ教ではヤハゥェー、キリスト教ではゴッド、イスラム教ではアッラー、みな同じ一つの神ですよね。イスラム教ではユダヤ教の教え(旧約)もキリスト教の教え(新約)も聖典とされているそうです。本来はきょうだい関係にある人々です。我々の社会でも親族関係にありながら様々な利害関係からずたずたに関係破壊され憎み合うこともよく見聞きすることがあります。パレスチナではイギリスが二枚舌三枚舌外交でユダヤ教徒とイスラム教徒の仲をずたずたにした。その責任をイギリス政府から聞いたことはない。戦争を仕掛けた人は責任をとらない。誰でも権力者になればそうなるのだろうか・・・私も権力者になれば戦争を仕掛けるのだろうか・・・

  2. 春光 より:

    コメント、ありがとうございます。原発や軍事基地が誘致される場所でも、権力者(他者)により地域住民の分断を生じさせられます。他者の介入があっても、分断されずに、ずだずだにされない関係性を同じ地域、国の住む住人でつくりあげることができていれば、他者など介入する余地などないのに、と考えるのは理想論でしょうか。人間は、仲良くできない存在なのだ、というところからが、始まりなのかもしれません。