映画の紹介:『黄金狂時代』(おうごんきょうじだい、The Gold Rush)

2024年

 先月末、旅行中の飛行機内の映画一覧の中から、チャップリンの「ゴールドラッシュ」という映画を見ました。
 原題は、「The Gold Rush」、邦題では、「黄金狂時代」です。

 あらすじは、ゴールドラッシュに沸くアラスカの雪深い山に金鉱を捜し求めて来た主人公(チャップリン)が、繰り広げる喜劇なのですが・・・・。詳細については、以下
ウィキペディア「黄金狂時代」をご参照ください。
 
 その雪山の山小屋で、飢えのために、自分の皮靴を片方、大鍋でゆでて、食べるシーンがあるのですが、革靴をお皿に盛り、ナイフとフォークを使って、靴底と上部部分を分け、上手に食べる様子は、まるでフランス料理に出されるメインディシュの魚料理を身と骨を分けるようでとても上手なのです。さらに、靴底の釘を、魚の骨のようにしゃぶり、出すシーンなどは、食べているのが、釘だとは、思えない程でした。

 それを見ながら、私の頭に思い浮かんだことがありました。それは、シベリア抑留者の体験話の中に、「靴を食べた。」とか、「革のベルトを食べた。」という話です。

 幾人かのそのような体験話を聞いていても、靴やベルトを食べるなど、想像もつかずにいたことでした。

 しかし、飢えてきた時に、革で出来ている靴やベルトを食べよう、と発想することは、自然なことなのだ、ということを知ったのでした。

 私もお気に入りの皮のバッグがありますが、いつかこのバッグを煮て、食べる、という日がこないことを願っています。                     筆責:山下春美

 

 
 

コメント

  1. せしたみつる より:

    空腹のあまり、革靴を美味しそうに食べるシーンを映し出すのは、チャップリン独特の皮肉でしょうが、究極の空腹感は人間にどんな物でも食べさせようとするのでしょうね。
    戦時中に裁判所の判事で、「悪法も法なり」と遵法のあまり闇市で食糧調達せず、栄養失調で亡くなった人がいました。
    翻ってつい最近、貧困のあまり老人が、おにぎりを盗んで逮捕された事件もありました。
    時代は変わっても、悲惨な出来事はなくなっていません。残念な事です。

  2. 春光 より:

    コメント、有難うございます。
    飢えて死ぬ、食べ続けても人間はいつか死ぬ、その問いの狭間で右往左往しています。